研究課題/領域番号 |
12047228
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
作田 誠 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (40178596)
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研究分担者 |
川久保 忠通 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (70044774)
高山 健 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (20163321)
石井 孝信 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (90134650)
白形 政司 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (70241792)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
2001年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | ニュートリノ / 標準模型 / 大統一理論 / ニュートリノ振動 |
研究概要 |
現在、ニュートリノ振動を検証するためのつくば-神岡間ニュートリノ振動実験K2Kが順調に進行中である。スーパーカミオカンデではKEK起源のニュートリノ事象が56個検出されている。KEK内に設置された前置検出器において検出されたニュートリノ事象の数から推定される検出数は、ニュートリノ振動が起きないと仮定した場合、80.6+・8事象である。実際に検出された事象数は、97%の確率でニュートリノ振動を支持する。最初の実験結果は、2000年7月28日に大阪で行われた第30回高エネルギー物理学国際会議(ICHEP2000)において本研究代表者(作田)、及び実験責任者(西川 京大教授)によって初めて報告され、物理の論文にまとめられた。石井ば前置検出器の中でミュー粒子検出器を使ってニュートリノビームの基本的な性質(エネルギー分布、広がり、方向、安定性)を詳しく調べ、論文にまとめた。Δm^2が、0.003(eV)^2より低い場合は、ニュートリノ強度を増強し、低いビームエネルギーに最適化されたK2K実験を性能を改良して続けるのが1つの有効な方法である。本計画はニュートリノ強度の増強のための方法を開発し、また増強したニュートリノビームを用いた新しい物理の可能性を検討することである。 物理:ファイバー検出器を含む前置検出器を使って、ニュートリノ振動実験で一番基本的なニュートリノの量とスペクトルを低エネルギに到るまで0.5-3.5GeVに渡って測定した。現在の前置検出器から鉛ガラスを取り去り、ファイバー検出器周りのシンチレーションカウンタでミュー粒子と陽子の分離を強化することで、1GeV以下で、2つの飛跡として見える準弾性反応を5-6倍多く検出することができる。その評価に基き、2001年の夏に鉛ガラス検出器は取り外された。これにより今後2年間で1GeV以下で、2つの飛跡として見える準弾性反応の統計を10倍にすることができ、エネルギー分布と非弾性散乱/弾性散乱の比を各エネルギー(0.5GeV巾)で10%以下の精度で決定する事ができる。そして、SKで検出される事象のニュートリノ振動による数の減少とエネルギー分布の歪みを精密に解析することにより、Δm^2が0.0025(eV)^2以上の領域にあれは、ニュートリノ振動を99%以上の確率で結論できると評価した。 加速器:川久保らはK2K実験開始以来、加速器(12GeV-PS)を安定に運転する事に成功し、実験時は、2.2秒隔に5.3x10^<12>個の陽子を標的に安定に供給している。高山らは、さらに運転の最適化と加速効率の向上を行なう事でビーム強度を約20%増加できると評価した。これは、2002年度から実施される。高山は、将来のさらなるビーム増強のため、Intensity Doubler構想のシナリオを提案した。それは、現在の速い取り出しの加速器運転周期2.2秒を1.6秒に短縮するために500MeV蓄積リングを作る事であり(50%増加)、もう一つはスーパーパンチ加速と呼ばれる新しい加速方法を採用することにより、ビームをリングの中に一様に詰めることである(50%増加)。平成12年度からすぐに500MeV蓄積リング用の勾配付き偏向磁石の設計製作が為された。製作結果は、ヨーロッパ加速器会議にて報告された。磁場測定結果を含めた報告はHEACC2001で行われた。スーパーバンチ加速については、2000年のヨーロッパ加速器会議や、2001年のSnowmassの会議にて高山らは新しい加速方式としてJHFや将来のHadron Colliderに有望であることを示し、KEK-PSやFermilab Main Injectorでのニュートリノ実験のビーム増強に応用できることを提案した。このように、本研究は物理、加速器共に十分に目標の成果を達成した。
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