研究課題/領域番号 |
12048204
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 浜松医科大学 (2001) 東北大学 (2000) |
研究代表者 |
針山 孝彦 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (30165039)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2001年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 脳内光受容器 / 光情報 / 複眼 / 側単眼 / 微小脳 / 完全変態 / 不完全変態 / 神経 |
研究概要 |
環境情報のひとつである光は、色や形や動きなどと云った短期的な現象を認識するものと日長の変化に対応した休眠・変態などの制御といった長期的な現象を認識するものとに分けることができる。その長期変化を受容する器官は複眼の他に、別の器官の存在が示唆されてきたが、私は甲虫の脳内に新たな光受容器の存在を明らかにした。脳内光受容器は、脳の背側後部に一対存在し色素細胞に囲まれている。光受容器は多くの微絨毛をもちその配行は複雑であり、複眼などで見られる規則性は観察されなかった。この形態学的に光受容器であると推定されていた脳内光受容器の単一細胞に微小電極を刺入して、電気生理学的に光受容スペクトル感度を測定した。すると530nmにスペクトル応答極大があり、複眼の380nmと560nm(ホタルの発光スペクトルに一致している)とは大きくずれていることが分かった。詳細に脳内光受容器の細胞数を、電子顕微鏡を用いて調べると少なくとも8個の細胞からなり、電気生理学的にこれらすべての細胞は530nmに応答極大をもつことを明らかにした。この脳内光受容器はこれまでに調べた甲虫のほとんどの脳内に存在しているだけでなく、他の完全変態昆虫の脳にも存在していることを見出した。それだけでなくフナムシやザリガニといった甲殻類の脳にも相似器官があることを発見した。ホタルの脳内における光受容細胞の神経の配行を明らかにするために、微小電極内に荷電している蛍光物質を注入しておき、刺入した細胞に電気泳動的にこの蛍光物質を入れ神経を染め出した。背側後部に位置している脳内光受容器から伸びている神経は背側を通り前方に伸びていることが分かった。その方向にはリズムに関係しているPer抗体で染色される細胞群が存在しており、脳内光受容器が生体のなんらかのリズム現象と関係していることが強く示唆された。
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