研究課題/領域番号 |
12048210
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保 健雄 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (10201469)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | ミツバチ / 社会性昆虫 / 高次行動 / 脳 / キノコ体 / カースト / 遺伝子発現 / cDNAクローニング |
研究概要 |
ミツバチは社会性昆虫であり、雌が女王蜂(生殖カースト)と働き蜂(労働カースト)に分化している。また、働き蜂は羽化後の日齢にともなって、育児から門番、採餌へと行動が変化(分業)する。ミツバチの脳では、感覚統合や記憶・学習の中枢であるキノコ体が顕著に発達しており、キノコ体を構成する介在神経細胞(ケニヨン細胞)の数はカースト間で異なること、またキノコ体の形態は育児蜂と採餌蜂で異なることが知られている。本研究では、ミツバチの社会行動を規定する脳内の分子的基盤を解明する目的で、ミツバチの行動依存的にキノコ体で発現する遺伝子をdifferential display法にて検索、解析した。 その結果、働き蜂に比べて女王蜂のキノコ体で強く発現する遺伝子Q7を初めて同定した。この遺伝子の発現部域を解析する目的で、女王蜂と働き蜂の頭部と胸部、腹部での発現を調べたところ、女王蜂のキノコ体に加えて、女王蜂の腹部(卵巣)でも強く発現することが判明した。これらの知見は、Q7遺伝子産物が、産卵などの女王蜂固有な行動(脳)と、それに対応した生理状態(卵巣の発達)の協調的な制御に関わることを示唆しており、ミツバチのカースト分化の分子機構を知る上で重要な手掛かりを与えるものと思われる。現在、Q7遺伝子のcDNAクローニングを進めており、約10kbpに及ぶ配列を決定したが、これまでのところORFは見出されていない。この他にも本研究では、スズメバチへの攻撃性を指標に門番蜂を採取し、逃避蜂に比べて門番蜂の脳で選択的に発現する遺伝子の候補をdifferential display法で多数、同定した。さらに、キノコ体を構成する2種類の介在神経細胞(大型と小型のケニヨン細胞)のそれぞれに特異的に発現する遺伝子のcDNAクローニングを行った。
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