研究概要 |
申請者らが単離・同定したショウジョウバエカスパーゼ活性化因子Dapaf-1は機能解析から細胞死実行に関与していることが明らかとなり、その機能欠失変異個体では三齢幼虫脳での細胞死の極端な減少・神経系細胞数の増加・脳の肥大が観察されており成虫脳でも層構造の乱れや個眼での細胞数の増加が観察される。この本来なら死ぬべき神経細胞の増加が、行動発現ネットワークの構築に影響を及ぼすかを検討することを目標として以下の実験を行った。 脳や複眼の限られた神経細胞に発現するGAL4系統と、既存の細胞死誘導系統(UAS-reaper,-hid,-grim,-drob1,-ced-4)または細胞死抑制系統(UAS-p35,-crmA,-diap1)を交配し、特異的神経細胞集団を完全に除去する・または逆に増やすことを試みた。光受容細胞R7で特異的に発現するロドプシンRh3のプロモーターでGal4をドライブする系統(Rh3-Gal4)とGal4依存的に細胞死誘導因子reaperやhidを発現する系統(UAS-reaper,UAS-hid)との交配でR7のみを除去する事が出来た。しかし、このような神経細胞死人為的操作を行うための細胞死カスケードの理解はまだ不十分である。そこで未知の細胞死実行因子を明らかにする目的で遺伝子の過剰発現スクリーニングをGS系統を用いて展開した。染色体の様々なポジションにUAS配列が挿入されたGS系統とRh3-Gal4系統との交配によって得られたF1の複眼切片を観察することによって、R7を消失しているGS系統をスクリーニングしている。
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