研究課題/領域番号 |
12048217
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
矢澤 徹 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30106603)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2001年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2000年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | HPLC / マイクロダイアリシス / 甲殻類 / ホルモン / ロブスター / イセエビ / ストレス / 闘争 / 行動 / セロトニン / ドーパミン / 血液 |
研究概要 |
甲殻類囲心腔においてin vivoマイクロダイアリシスを行い、ホルモンと行動とを対比させた。ロブスターが他者と遭遇すると、たとえ鋏脚を振り上げる闘争が起きなくても、血液中に放出される未知のホルモンがあることが昨年度発見された。この「ストレスホルモン」は雌雄どの個体にも出現した。今年は、これらの未確認物質のうちストレスで必ず放出される物質を仮に「P-substance」と命名し、その候補物質名を一つに絞った。今後、物質名の適否を検証しなければならない。 マイクロダイアリシス監視と平行して、今年は、慢性埋め込み電極で心拍の経時変化を連続監視した。ストレスで心拍数は著しく変動し、安静時の約60にくらべ倍増した。ストレス除去後5分以内に安静時心拍数にもどった。この時間経過は、先に見つかったホルモン濃度変動の時間経過と一致した。「P-substance」は心臓興奮作用をもつことが推測されるが、その作用が心臓に対する直接作用なのか、心臓制御中枢作用を介した間接的なものなのか、或いはその両方なのか、あらたな課題が生じた。 イセエビにおいても同様の緊張ストレスで、諸物質の循環血への放出がおきた。ロブスターとイセエビに共通の物質がありそうであるが物質名の同定がされていないので、これ以上今は論じられない。イセエビのあるホルモンは放出後5分で消滅することはなく、ゆっくり減衰した。既報したが、イセエビでは緊張ストレスが除去されても高い心拍は持続し、安静時の特異的な心拍モードにはなかなか戻らない(Yazawa and Katsuyama 2001)。ロブスターとイセエビのストレスに対する反応の違いは、心拍変動に於いてもホルモン濃度変動と同じであった。脳におけるホルモン放出の制御機構の進化は鋏を持っていて闘争的であるかないかというような、行動パターンの違いと密接であることが示唆される。
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