研究課題/領域番号 |
12050212
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 義春 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60251427)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
2001年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2000年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 動脈血圧反射 / 心肺圧反射 / 確立共振 / ゆらぎ / 機能的意義 / 確率共振 |
研究概要 |
近年、非線形な入出力関係をもつシステムに対するごく微弱なノイズ印加がその出力を増強するという確率共振現象が、物理・化学をはじめ、生物学など、さまざまな分野で報告されている。確率共振現象は、元来氷河期の周期的到来を説明するために考え出された概念であるが、その後幅広い物理系でその存在が確認されるとともに、いくつかの実験研究によって感覚神経細胞におけるノイズ印加が閾値下入力信号の)検出力を高めることが明らかになり、感覚生理学の分野にも大きな話題を提供した。研究期間中、研究代表者は、ヒトの動脈圧受容器に対して外部から物理的に加圧、減圧する方法を用い、動脈圧受容器への微弱なノイズ印加が、起立負荷および下半身陰圧負荷(LBNP)による心肺圧受容器への周期的脱負荷に対する循環応答に及ぼす影響について検討してきた。その結果、ノイズ強度の増加に伴い、心拍数および筋交感神経活動の応答性は、一度向上したのち再び低下するという典型的な確率共振の動態を示した。 さらに、健常成人およびShy-Drager症候群患者を中心とする一次性自律神経不全患者を対象として、急速起立時の心拍数・動脈血圧の過渡応答を、同様に動脈圧受容器へのノイズ印加の有無で比較した。その結果、動脈圧受容器に対するノイズ印加は、i)健常成人において頻脈応答を加速すること、ii)患者においては、ノイズなしでは起立に必要な定常血圧を確保できない60度頭部挙上時に(約30/10mmHgまで低下)、50/30mmHg以上の血圧を確保することが示された。 以上を総合して、ヒトの脳は、確率共振のメカニズムを用いて、外界から与えられたノイズを有効に利用し、その機能を高め得ることが明らかになった。
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