配分額 *注記 |
78,300千円 (直接経費: 78,300千円)
2002年度: 26,400千円 (直接経費: 26,400千円)
2001年度: 27,000千円 (直接経費: 27,000千円)
2000年度: 24,900千円 (直接経費: 24,900千円)
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研究概要 |
胎仔肝臓中のT前駆細胞(p-T)とp-Bを細胞表面マーカーの1つpaired immunoglobulin-like receptor (PIR)を用いて分離精製することに成功した.このことによって,従来はMLPアッセイによる検出だけで定義していたp-T, p-B, p-M(これはすでにFcR^+分画に分離されていた)などの存在が確定的となった.とくに,最近では胸腺へ移行するのは共通リンパ球前駆細胞(CLPまたはp-TB)であると主張する発表があいついでいたのであるが,PIRによる分離の成功でp-Tの存在とp-Tの胸腺移行を実証することができた.一連の研究において,胸腺移行前のp-TはすべてNKおよびDCへの分化能を保存しているのに対して,p-Bはいずれへの分化能も持たない事も示された.さらに,胸腺へ移行したp-TはCD44^+CD25^<low>段階からCD44^<low>CD25^+の段階へ至る過程でNKへの分化能とDC産生能を失う事が明らかとなった. Tリンパ球の分化と選択に伴う細胞の移動機構を解析するため,胸腺器官内Tリンパ球移動を顕微鏡下で直接タイムラプス追跡する新規解析法を開発した.その結果,ケモカインのひとつCCL19が成熟Tリンパ球の胎仔胸腺移出をひきおこすことを見いだした.一方,CCL19受容体CCR7のノックアウトマウスでは,新生仔期の末梢T細胞供給数は著明に少なかった.しかし,成体CCR7ノックアウトマウスでの脾臓T細胞数は正常マウスを上回り,CCR7非依存性胸腺移出機構の存在も示された.また,正常マウス胸腺内でのCCL19は主に髄質内の血管内皮細胞や血管周囲間充織細胞に局在していた.以上の結果から,CCR7シグナルは新生仔胸腺からの成熟Tリンパ球の移出に必須であることが示された.また,CCR7リガンドは髄質の血管周辺に成熟Tリンパ球を誘引することで胸腺移出に関与することが示唆された.加えて,CCR7非依存性の胸腺移出機構の存在も示された.
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