研究課題/領域番号 |
12051240
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
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研究分担者 |
野見山 尚之 熊本大学, 医学部, 講師 (00156225)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
78,300千円 (直接経費: 78,300千円)
2002年度: 26,400千円 (直接経費: 26,400千円)
2001年度: 27,000千円 (直接経費: 27,000千円)
2000年度: 24,900千円 (直接経費: 24,900千円)
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キーワード | ケモカイン / ケモカインレセプター / アトピー性皮膚炎 / 皮膚角化細胞 / 成人T細胞白血病 / Th2細胞 / EBウイルス / 細胞傷害性T細胞 / 炎症 / 免疫 / 喘息 / ノックアウトマウス / アトビー性皮膚炎 |
研究概要 |
本研究はケモカインによる情報伝達制御というテーマであるが、現時点では細胞内情報伝達の分子機構の解析よりも、むしろ細胞間でのケモカインを介する生理的および病的な細胞移動の解析が急務と考え、各種病態生理とケモカインの関係を中心に研究を行ってきた。今年度のおもな成果は以下の通りである。(1)CCR4は液性免疫やアレルギーに関与するTh2型メモリーT細胞や皮膚移行性メモリーT細胞に選択的に発現しているが、我々はアトピー性皮膚炎(AD)の患者ではCCR4のリガンドCCL17とCCL22の血漿中での値が有意に上昇し、病気の程度を表すSCORAD係数やEASI係数とよく相関すること、CCL17とCCL22はともに皮膚角化細胞をIFN-γで刺激すると産生されること、ADの患者ではさらに血小板中のCCL17値が上昇していること、などを明らかにし、CCR4系のAD病態形成での重要性を示した。(2)成人T細胞白血病(ATL)ではほとんど(>95%)の症例がCCR4陽性白血病であることを明らかにした。ATLの発生母地やATL細胞の性状(高率な皮膚浸潤性など)を理解し、さらにATLに対する新たな治療法を開発するうえで重要な知見である。(3)EBV形質転換B細胞でのケモカインレセプターの発現パターン(CCR6とCCR10の発現上昇とCXCR4とCXCR5の発現低下)を明らかにし、CCR6とCXCR4の変化はEBNA2やLMP1の作用であることを明らかにし、CCR10とCXCR5の変化はプラズマ細胞様の分化段階と関係を推測した。EBV形質転換細胞はリンパ組織では胚中心を避け、また粘膜下組織によく集まることをよく説明する。(4)CCR10の発現上昇とCXCR5の発現低下が実際にプラズマ細胞の分化形質であることを明らかにし、プラズマ細胞ではCCR10、CXCR4、CXCR6が選択的に発現することを明らかにした。また骨髄のストローマ細胞はこれらのレセプターに対するリガンド(CCL28、CXCL12、CXCL16)を高レベルで発現することを明らかにした。(5)CCR10のリガンドであるCCL28は唾液腺などの粘膜組織でのプラズマ細胞の組織内移入を誘導するとともに、粘膜上皮細胞から分泌され、強力な抗菌作用を発揮することを明らかにした。(6)CX3CR1はリンパ球の系統を問わず、パーフォリン陽性のキラー細胞に発現することを明らかにした。
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