研究概要 |
1.判別宿主(Beta maritima)の選抜と遺伝的特性 BNYVV(分離株O11)をテンサイの葉に汁液接種すると,感受性品種では黄色斑の感受性反応(S)を,抵抗性品種では,壊死斑,小斑点,無病斑などの抵抗性反応(R)を示し,接種葉でも感受性と抵抗性を識別することが可能となった.テンサイ野生種B.maritima 9種について検定した結果,B.maritima系統によって反応が異なり,多くは感受性反応と抵抗性反応を示す個体が混在していた.抵抗反応の異なる2つのラインを選抜し,MR1,MR2と名付けた.抵抗性,感受性集団の後代検定から,BNYVVに対するB.maritimaの抵抗性は優性遺伝子によって支配されていると推定された. 2.抵抗性反応に関与するP25遺伝子の解析 各種BNYVV分離株は,B.maritima MR1,MR2に対する抵抗反応の違いから,MB1のみに抵抗性,MR1とMR2の両者に抵抗性,両者に感受性を示すグループに分けられた.抵抗反応を示す宿主では,接種葉におけるウイルスの蓄積がみられないか,または著しく抑制された.この抵抗反応はP25タンパク質(219アミノ酸)の発現によって誘導されることが示された.すなわち,P25遺伝子欠損ウイルスでは,いずれの組み合わせにおいても抵抗反応は起こらずに病斑は退緑斑のまま拡大し,ウイルスの蓄積が認められた.各種野生分離株の比較および感染性クローンを用いた変異導入実験から,P25タンパク質の68-70番目のアミノ酸がB.maritaima MR1に対する抵抗反応を支配していることが証明された.
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