研究課題/領域番号 |
12053201
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
蔵田 潔 弘前大学, 医学部, 教授 (30170070)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 大脳皮質 / 運動前野 / 頭頂連合野 / 運動学習 / プリズム適応 / ニューロン活動 / 神経回路 / マルチレコーディング |
研究概要 |
ヒトやサルが行う上肢による到達運動は、シフトプリズムを装着することにより視覚空間座標と運動座標との間に解離が生じても、10-20回の試行で正確に目標に到達することができる。しかもこの運動学習にはプリズムの着脱毎に、極めて高い再現性のあることが確認されている。このような運動学習に大脳皮質運動前野腹側部が重要な役割を果たしていることが明らかにされている。本年度の研究では、この目標点への手到達運動のプリズム適応が運動前野腹側部内およびその周辺の神経ネットワークにおける信号伝達の変化によって達成されるという仮説を立て、運動前野腹側部での単一ニューロン活動の多点同時記録を行うことで検証した。 運動前野腹側部で記録されたニューロン活動では、運動関連活動を示すニューロンを含めてもプリズム適応中に特異的な発火を示すものはほとんどなかった。しかし、ニューロン間の相互相関を解析すると、プリズム適応中に特異的に一方のニューロンの発火後に発火確率の増加するニューロンが存在し、そのようなニューロン対は運動関連活動を示すニューロン間である場合が多数であった。さらに、運動学習に伴うこのような現象は、ニューロン間の単なる発火確率の変化ではないことがJoint Peri-stimulus Time Histogram(JSTH)解析からも明らかとなり、神経回路を形成するニューロン間のシナプスにおけるスパイク後促通を示すものと考えられる。 すなわち、この結果は運動前野腹側部の神経ネットワークにおける特異的なシナプス伝達効率の変化がプリズム適応に関わっていることを示すものと考えられる。これまでの研究により、運動前野腹側部には視覚座標系を反映するニューロン群と運動座標系ニューロン群の存在することが知られているが、本研究の結果はこれらニューロン群間の結合性が変化することによってプリズム適応が達成されることを示唆する。
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