研究課題
特定領域研究
EAT-16/RGS(Regulator of G protein Signaling)の機能欠失型突然変異体は、温度勾配上で飼育温度に関わらず低温に移動する好冷性温度走性異常を示す。本研究者らは、eat-16変異体のAWC感覚細胞でEAT-16を発現すると、この好冷性異常が回復することを明らかにしていた。AWCは、嗅覚を担うニューロンとして解析が進められてきた感覚細胞である。Mori and Ohshima(1995)は、温度走性神経回路モデルおいて第2の未同定温度感覚細胞(X)の存在を提唱していた。線虫C.elegansにおける主要な温度受容感覚細胞であるAFDを殺傷された野生型個体は、温度勾配上で温度を感じられないように移動する温度無走性異常と好冷性異常を示し、温度に対する応答が完全に消失していなかった(Mori and Ohshima,1995)。そこで、本研究では、野生型個体のAFDとAWC感覚神経細胞の両方を殺傷したところ、例外無く温度無走性異常を示した。従って、未同定の2次的な温度受容神経細胞の正体はAWCであり、AWC感覚細胞は、嗅覚と温度受容の両方を担う神経細胞であることが明らかになった。また、AWCの温度受容機構において、EAT-16/RGSが負に制御しているのは、ODR-3Gαであり、その下流には、ODR-1Guanylyl Cyclase、TAX-4環状ヌクレオチド依存性チャンネルが関与していることが遺伝学的に示唆された。また、本研究では、新たに温度走性に関与する遺伝子を2つクローニングした。さらに、飢餓を体験させても、温度走性が逆転しないaho変異体において異常になっているaho遺伝子を2つクローニングした。
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Genetics (印刷中)
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EMBO reports 5
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