研究課題/領域番号 |
12053244
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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研究分担者 |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (50303847)
森 和俊 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (70182194)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2000年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | Rho / Rnd / Rac / Cdc42 / NGF / PC12細胞 / 神経突起 / 神経回路 |
研究概要 |
神経突起の伸長・退縮の調節に、低分子量G蛋白質Rhoファミリーが深く関与しており、細胞骨格の再構築によりRhoは神経突起の退縮を、Rac、Cdc42は突起伸長を引き起こす。我々は、PC12細胞で突起形成能に違いがあるNGFとEGFの細胞内情報伝達の違いを検討した。NGFはPI3K依存的にRac1を活性化するが、EGFは非依存的にRac1を活性化した。また、NGFは突起形成部位にやはりPI3K依存的に活性型のRacを集積させ、F-actinを集積させたが、EGFではこのような集積はみられなかった。このことから、共にチロシンキナーゼ型の受容体でありながら、NGFとEGFの突起形成能の違いはRac1の活性化の仕方の違いと、細胞内における空間的局在化の違いに起因することがわかった。一方、RacやCdc42の活性型などを単に発現させても、PC12細胞で突起形成は起こらなかった。そこで、RacやCdc42の上流でこれらのG蛋白質を制御し、突起形成を調節する機構があることが推定された。そこで、Rhoファミリーの中で機能の不明なG蛋白質であるRhoGの神経細胞における作用を解析した。RhoGをPC12細胞に発現させると、長い突起形成が引き起こされた。また、RhoGはRac1とCdc42を活性化した。RhoGによる突起伸長は優性抑制型Rac1やCdc42により抑制された。一方、NGFによる突起伸長は、優性抑制型RhoGにより抑制された。NGFによる突起伸長はRasを介し、活性型Ras単独で突起伸長か起こることが知られている。優性抑制型RhoGは活性型Rasによる突起伸長も抑制した。これらのことから、RhoGはNGF-Rasの下流に存在し、RacやCdc42の上流でこれらのG蛋白質の活性を促進することにより神経突起伸長を制御しているものと思われ、神経突起伸長において、NGF-Ras-RhoG-Ras/Cdc42というRhoファミリーG蛋白質を含む情報伝達経路が重要な役割を果たしていることがわかる。
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