| 研究概要 |
要素渦の基本的特性の解明の研究では,要素渦の物理特性(断面積,循環,等)や空間分布のレイノルズ数依存性を定量的に求め,高レイノルズ数の極限においても要素渦は力学的重要性を保つことを示唆する結果を得た。要素渦の生成,成長,消滅の過程を解析する手段としての渦の自動追跡法を開発し,渦構造の反平行接近等の現象を観察した。乱流中の流体線と面が反平行に揃った要素渦の作用により指数関数的に伸長することを示し,その伸長率を正確に求めた。圧縮性の存在が渦の成長を抑制すること,および,圧縮性渦に生じる渦波は非圧縮性の渦波とまったく異なる性質をもつことを示した。MHD乱流において,渦の磁場の共生的相互作用によるダイナモ現象の新しいメカニズムを発見した。クエット乱流中に,要素渦の生成・消滅を伴う不安定周期運動を発見した。次に,要素渦の基本動力学の解明の研究では,大規模秩序渦構造と乱流場との相互作用において,秩序渦構造に軸流がない場合,要素渦から形成された渦輪状構造は渦芯の表面付近でのエネルギー散逸を促進することを確かめた。他方,軸流を伴う秩序渦構造では,渦の表面に微細渦が巻き付き,秩序渦内部で軸対称・屈曲渦が発生し,やがて非線形相互作用により崩壊するという一連の過程を捉えた。ボアゾイユ乱流中に,要素渦の生成・消滅を伴う不安定周期運動を発見した。また,ボアゾイユ乱流の外部層に,内部層で見られるような縦渦構造やストリーク構造が再現することを示した。
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