研究課題
特定領域研究
紫外線により誘導されるピリミジン2量体は他の損傷と比較して修復効率が悪く、DNA複製の進行を阻害することが多い。Rad18はRad6と共同して停止部位でのPCNAをモノユビキチン化することで、損傷乗り越え合成に関与するポリメラーゼηの誘導に関与することを示した。Rad18蛋白質はSDS-PAGEにおいて2本のバンドとして検出される。このうち85kdに相当する分子種は75kdに相当するもう1本の分子種がモノユビキチン化したものであることを質量分析により明らかにした。Rad18のモノユビキチン化機構を解明するため、分子内のRINGフィンガー領域(RFD)及びZnフィンガー領域(ZFD)に点突然変異を導入し、これらの変異Rad18蛋白質のモノユビキチン化を野生型と比較検討した。野生型Rad18蛋白はRad6蛋白の発現量に依存してモノユビキチン化が促進されるのに対してZFD変異型ではモノユビキ・チン化がほとんど見られなくなること、RFD変異型は速やかに分解され、発現量が著しく減少することがわかった。また、Rad6結合部位(R6BD)を欠損したRad18は野生型細胞中ではモノユビキチン化されるのに対し、Rad18^<-/->マウス細胞中ではモノユビキチン化されない。一方、ZFD変異型Rad18は両細胞中でもモノユビキチン化されないことが明らかとなった。更に酵母でのTwo-hybrid法の解析からRad18蛋白はZFDで2量体を形成することも明らかとなった。これらの実験結果より以下のモデルを提唱した。Rad18はR6BDを介してRad6と結合する一方、ZFDを介して2量体を形成する。2量体中の一方のRad18はRad6と結合したもう一方のRad18によりモノユビキチン化される。更にこれら2種類のRad18蛋白質の細胞内局在を免疫染色法や生化学的方法を用いて解析した結果、モノユビキチン化されたRad18は主として細胞質に局在し、ユビキチン化をうけていない未修飾型Rad18は核内に局在することが明らかとなった。これらの実験結果は、過剰なRad18をモノユビキチン化することで核から排除し、核内のRad18の量を調節している可能性を示す。
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Journal of Biological Chemistry 280
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The EMBO Journal 23
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