両生類の初期発生過程におけるMidblastula移行(MBT)では、Zygoticな転写と細胞分化の開始、G1間期の出現と体細胞型への細胞周期の変換と大きな変化が起こるが、その分子機構の解明は大きな命題の一つである。我々はG1/S転移期に重要な働きをする転写因子E2Fに着目し、MBTでの機能解析を行った。レポーター遺伝子を用いて測定したところ、MBTを境に内在性E2F活はが上昇した。優性不能型E2Fタンパク質を導入するとMBT後の内在性E2F活性の上昇が阻害され、MBT以後の発生過程に異常が認められた。優性不能型E2Fタンパク質の導入によりMBT前では変化は認められなかったが、野性型E2Fタンパク質を導入した胚ではMBT以前にE2F活性が上昇し卵割に異常を生じた。これらのことから、MBT以後にE2F活性が上昇することがMBTの正常な転移に重要な役割を果たしていることがわかる。MBT前後におけるE2Fの標的遺伝子候補を網羅的に解析するために、MBT前後の胚から抽出したmRNAを用いてディファレンシャルスクリーニングを行い、MBT以後に発現が上昇する遺伝子の候補を150クローン得た。現在、これらの遺伝子のさらなる解析を進めるとともに、優性不能型E2Fにて抑制され、野性型E2Fによって活性化されるクローンの選別を行っている。また、サイクリンD1プロモーターにレポーターとしてGFPを連結後、これを用いてトランスジェニック個体を作成し、in vivoでのプロモーターアッセイ系を確立した。さらに、段階的欠失変異体を用いて同様に解析しサイクリンD1プロモーターの活性化に必要な領域を定めた。
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