研究概要 |
6倍体のコムギから効率よく遺伝子をクローニングするシステムを確立した。高分子DNAを挿入したパンコムギのゲノミックライブラリーを構築し、3種類のゲノムに相当する標的遺伝子のゲノミッククローンをスクリーニングした:P1ファージ由来のクローニングベクターを改良し、アグロバクテリウムの系を用いてイネ科植物を直接形質転換できるTAC(Transformation-competent Artificial Chromosome)ベクターを開発した。パンコムギから高分子DNAを単離し、高分子DNAを制限酵素HindIIIで部分分解し、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)で分画した。分画したDNAをTACベクターにライゲーションし、エレクトロポーレーターで大腸菌を形質転換した。形質転換したコロニーを回収し、数百コロニーをまとめてタイタープレートのウェルに入れ、ライブラリーとして冷凍保存した。各ウェルからプラスミドDNAを抽出し、各ウェルのプラスミドDNAをプールしてタイタープレート1枚にまとめてスクリーニングプレートを作製した。このライブラリーから、シングルコピーの遺伝子をスクリーニングした。A,B,Dそれぞれのゲノムに相当するクローンを得ることができ、TACライブラリーの妥当性が示せた。次年度からは、TACライブラリーを用いて各種遺伝子のポジショナルクローニング・ゲノム歩行に活用したい。
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