研究概要 |
<背景>気管支喘息は多くの分子が関与する多因子疾患である。気管支喘息における好酸球の集積には、ケモカイン受容体3(CCR3)が関わっており、その特異的リガンドであるエオタキシンは最も強力な好酸球遊走活性を持っている。また、気道に集積するリンパ球はTh2であるが、最近TARC,MDCをリガンドとするCCR4はTh2に選択的に発現されていることが示されている。 <結果>エオタキシン、TARC、MDC、遺伝子それぞれの蛋白翻訳領域、プロモーター領域またCCR3、CCR4遺伝子の蛋白翻訳領域の多型を喘息患者、健常人で検討した。健常人38名、喘息患者40名について末梢血を収集し、genomic DNAを分離した。phenotypingは実施中である。エオタキシンのプロモーター領域、蛋白翻訳領域の多型検討はPCR-SSCP(single strand conformation polymorphism)法およびPCR-RFLP(restriction fragment length polymorphism)等を用いてほぼ完了し、プロモーター領域2個、蛋白翻訳領域2個のSNPを新たに見いだしている(表)。CCR3の蛋白翻訳領域の多型については、我々が既にベーチェット病で報告した、第5膜貫通部における非同義置換(T652A)は喘息症例では認められなかったが、外国で報告されたCCR3のSNP(T51C:Y17Y)を初めて日本人で確認した。またTARC、MDC、CCR4遺伝子の蛋白翻訳領域、プロモーター領域の多型について解析中であり、。またTARCの3rd exonに2個の未報告のSNP(G2034A,C2134T)を見出した。 <考察>今後、解析を終了し、アミノ酸置換の場合は機能解析を行う。対象を拡大し、いずれの変異出現についても、連鎖解析を行う。また統計学的解析を行いphenotypeとgenotypeのassociation studyを行う予定である。
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