研究課題
特定領域研究(C)
糖尿病の大部分を占める一般の2型糖尿病は、遺伝的要因に生活習慣などの環境因子が加わって発症する多因子病である。多因子病としての2型糖尿病原因遺伝子の同定は、従来の連鎖解析では不可能であり、罹患同胞対法が有力である。我々は日本人250組500人の2型糖尿病罹患同胞対を用いた罹患同胞対法により、複数の染色体上に2型糖尿病との連鎖が示唆される領域を認めた。現在、連鎖が有意な領域に存在するマーカーの数を増やしたfine mappingと共に、他の染色体領域との相互作用を考慮に入れた解析を行うことによって領域の更なる絞込みを行い、公的なデータベースも利用して日本人2型糖尿病原因遺伝子を最終的に同定したい。これと平行してPPARγ2Pro12Ala多型と2型糖尿病・インスリン抵抗性との相関を検討した。Ala12アリル保持者の頻度は糖尿病群で1.8%、非糖尿病群で4.3%と非糖尿病群で高く、本多型は2型糖尿病抵抗性因子として働くことが示唆された。更に肥満者では本多型保持者は非保持者に比してインスリン感受性が高いこと、本多型保持者は非保持者に比して血中レプチン値が高いことが明らかになった。先に作製したPPARγヘテロ欠損マウスが高脂肪食による脂肪細胞の肥大化やインスリン抵抗性の惹起から抑制されていること、その機序として脂肪細胞でのレプチンの発現が高値で血中レプチン値が高いことなどと今回の結果を併せて考えると、本多型保持者は血中レプチン値が高いことからインスリン抵抗性が軽度で2型糖尿病発症リスクが低いことが示唆された。最近本多型に関する研究をまとめたMeta-Analysisによって我々の結果が確認された。
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