研究概要 |
ロイコトリエンの受容体のCys-LT1Receptor(Cys-LT1R)の遺伝子多型をSSCP法で気管支喘息患者132例(アスピリン喘息51例、非アスピリン喘息81例)と健常人141例で、喘息またアスピリン喘息との関連性について検討を行った。 【結果】Cys-LT1Rには翻訳部位から927にTtoCのSNPがみられた。Cys-LT1Rは、X染色体上にあるため男性ではTまたC、女性ではT/T,T/C,C/Cの遺伝子型があり、これらの遺伝子型の頻度は健常人とアスピリン喘息または非アスピリン喘息のいずれも統計学的には有意差が見られなかったが、TおよびCのallele頻度は、健常人男性でT39/73(53.4%)C34/73(46.6%)、非アスピリン喘息男性T22/39(56.4%)C17/39(43.6%)アスピリン喘息男性T8/18(44.4%)C10/18(55.6%)であった。また健常人女性でT73/136(53.6%)C63/136(46.4%),非アスピリン喘息女性T22/136(56.9%)C37/136(44.1%),アスピリン喘息女性T37/136(56.0%*)C29/136(44.0%)で、T alleleの頻度は、男女で比較するとアスピリン喘息の女性患者に多くみられた(p=0.03,chi-square analysis)。 このことは、アスピリシ喘息では女性患者が男性患者より多いと言う臨床統計(表現型)と一致し、927TのSNPが関与していることを示唆している。 また、翻訳部位から492にAtoGのSNPが見つかったが、健常人50例中1例のみにみられ喘息患者132例中1例もみられなかった。その頻度は、1/182(0.55%)でごくまれなものであった。927TtoCと492AtoGのいずれもアミノ酸変異を伴わないSNPsであった。
|