研究概要 |
本研究の目的は、60遺伝子100多型と心筋梗塞との関連について大規模関連解析を行い、日本人における心筋梗塞および冠動脈形成術後再狭窄に関する総合的リスク診断システムを開発することにある。2000年度は、心筋梗塞442例(男216例、女226例)、対照447例(男218例、女229例)について19遺伝子23多型の関連解析スクリーニングを行った。男性ではangiotensinogen(P=0.02,OR 1.7)、eNOS(P=0.05,OR 1.5)、G-protein β3 subunit(P=0.05,OR 1.8)、NAD(P)H oxidase p22 phox(P=0.006,OR 0.5)、plasma PAF acetylhydrolase(P=0.0006,OR 2.4)、TNF-α(P=0.04,OR 0.6)、TGF-β1(P=0.05,OR 1.9)の遺伝子多型と心筋梗塞との関連を認めた。女性ではCD14 receptor(P=.0.05,OR 1.9)、endothelin-1(P=0.03,OR 2.4)、eNOS(P=0.05,OR 1.6)、paraoxonase(P=0.009,OR 0.5)、stromelysin(p=0.05,OR 0.2)、TNF-α(P=0.05,OR 0.2)の遺伝子多型と心筋梗塞との関連を認めた。残りの77多型も2001年度前半には完了予定である。心筋梗塞と関連する多型に関しては、さらに心筋梗塞3,000例、対照3,000例について検討しデータベースを構築する。これに基づき、従来の動脈硬化の危険因子と遺伝因子を包括した心筋梗塞および冠動脈形成術後再狭窄に関する総合的リスク診断システムを開発する。本システムは冠動脈疾患の一次予防や治療法の選択に貢献できると考えられる。
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