研究課題/領域番号 |
12204058
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田中 利男 三重大学, 医学部, 教授 (00135443)
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研究分担者 |
角田 宏 三重大学, 医学部, 助手 (20314114)
西村 有平 三重大学, 医学部, 助手 (30303720)
中 充子 三重大学, 医学部, 助手 (10093139)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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キーワード | 薬理ゲノム科学 / トランスクリプトーム解析 / 疾患関連遺伝子 / 治療関連遺伝子 / 創薬ターゲット / 脳血管攣縮 / 脳底動脈 / Heme Oxygenase-1 |
研究概要 |
<背景と目的>薬理ゲノム科学は、ゲノム創薬で中心的役割を果たし、遺伝子多型、遺伝子発現プロフィール、プロテオームの包括的解析を基礎に、新しい創薬ターゲットを探索を可能にする。本研究では、薬理ゲノム科学的アプローチを活用し、治療関連遺伝子の探索研究を行った。多くの薬理ゲノム科学関連研究は、主に疾患関連遺伝子の探索により、創薬ターゲットを見出そうと試みている。一方、我々は遺伝子発現プロフィール解析により治療関連遺伝子を探索し、臨床治療薬の新しい創薬ターゲットを検索した。具体的には、脳血管攣縮における治療関連遺伝子、創薬ターゲットの検索を試みた。 <検討結果>最近我々は、脳血管攣縮モデルの脳底動脈におけるトランスクリプトーム解析により、Heme Oxygenase-1(HO-1)が選択的に誘導されることを明らかにした(J.Clin.Invest.104:59-66,1999)。Antisense HO-1投与により、HO-1の誘導が選択的に抑制され、脳血管攣縮の程度の悪化および攣縮のピークの遅延を認めた。さらにHO-1を誘導しておくと、くも膜下出血後の脳血管攣縮は著明に改善した。従って、HO-1が内因性抗攣縮分子として作用することが明らかとなった。また、抗攣縮作用を示す医薬品の投与により、脳底動脈におけるHO-1誘導が相乗的に増強し、脳血管攣縮も改善した。 <考察>脳血管攣縮は、最も重大な予後不良因子であるが、その作用機序、治療法は確立されていない。我々は、治療関連遺伝子を探索し、新しい創薬ターゲットを見いだすという戦略で、脳血管攣縮において、HO-1が新しい創薬ターゲトであることを見出した。この戦略は、薬理ゲノム科学による創薬ターゲットの探索に有用であり、治療関連遺伝子に焦点をあてた創薬ターゲットの新しい探索研究戦略である。
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