研究概要 |
FISH法,マイクロサテライト法,PCR-SSCP法などにより,疾患遺伝子領域の微小欠失,重複などが検出されつつある中で,いまだそれらの方法を用いても同定されない先天性遺伝性疾患は多い.本年度の申請書に従い,CGH(comparative genomic hybridization)法とSKY(spectral karyotyping)法を未知の奇形症候群等に利用し,染色体上の欠失・重複領域を同定する手法の有効性を検討した. 症例1)は,SKY法で8番短腕の過剰部分が12番由来と判明した.また,CGH解析で,断点は8p23,過剰部分は12p13由来と判明し,核型を46,XX,add(8)(p23)der(12)(p13)と決定した. 症例2)は,SKY法でmarker染色体は10番由来と推定した.10番セントロメアプローを用いたFISHにより,marker染色体が10番由来であることを確認した.核型を47,XX+mar.ish der(10)と決定した. 未知の奇形症候群等の染色体構造異常を明らかにするために,SKY法,CGH解析,FIS法を利用したアプローチは有効だった.今後の課題はSKY法とCGH解析,両法の検出感度・解像度の限界の検討である.一般にCGHでは20Mbにわたるコピー数の変化がないと検出が困難と言われており,SKY法の検出感度はCGH解析よりも劣るため,染色体作成に工夫が求められる.今後は,中期染色体を使う通常法と染色体が伸長した前中期染色体を使用する方法の比較検討を行い,検出感度・解像度を上げる工夫を行う予定である.
|