研究課題/領域番号 |
12204108
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
武藤 徹一朗 (財)癌研究会, 癌研究所, 部長 (20110695)
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研究分担者 |
新井 正美 (財)癌研究会, 癌研究所, 研究員 (20232027)
宇都宮 譲二 (財)癌研究会, 癌研究所, 研究員 (70013901)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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キーワード | 家族性腫瘍 / 遺伝性非ポリポージス大腸癌 / HNPCC / MSI / マイクロサテライト不安定性 / 遺伝子診断 / hMSH2,hMLH1 / haploid conversion法 |
研究概要 |
目的:家族性腫瘍の責任遺伝子変異を同定することは遺伝子診断を可能とし、発癌のステップを明らかにするからがん予防対策研究に貢献すると考えられる(UICC Familial Cancer and Prevention Project UICCFCPP)。これを実証するため癌研附属病院に過去55年間集積された診療情報を家族性腫瘍センターで活用する方針とし、まずそのモデルとしてHNPCCのがん予防プログラムと遺伝子/形質相関DBの原型を作成することにした。 方法と成果:1.後ろ向き調査:大腸癌5332例のうちrevised Amsterdam Criteria、Japanese Clinical Criteria、Bethesda Guide line適合例はそれぞれ23例(0.43%)、198例(3.7%)、1323例(24.8%)であった。関連癌では乳癌の併存頻度の増加傾向は一般集団よりも顕著であった。患者・家族に対し保存組織標本の再検査通知を行ない、同意を得た例にMSIテストを施行し、その陽性例はHNPCCの診断の下に遺伝カウンセリング後、germ line遺伝子診断(hMSH2,hMLH1)を行う計画を立案し実行を開始した。2.前向き調査:癌研家族性相談室が開設され1年間に遺伝カウンセリング施行例数は46家系(FAP、4;HNPCC、29;家族性胃がん、4;MEN2、2;家族性乳がん、3;家族性前立腺がん1;FN、1;未分類、3家系)49症例であった。遺伝子検査の結果現在までにAPC、1;hMLH1、2;hMSH2、1;RET、1個の変異が同定された。 考案と結論:UICCFCPPは単一遺伝子性遺伝性腫瘍の臨床診断を基点として発端者を発見し、家系解析と遺伝子診断を併用してがん予防を目指す臨床遺伝学的手法であり少数例につき継続的に観察する。一方「ミレニアムがんゲノム計画・遺伝子多様性プロジェクト」は非特定多数の患者を対象とした網羅的ゲノム解析を基点とする集団遺伝学的解析で多因子要因を同定せんとする。両者は互いに補完して相乗的効果が上げられると考えられた。情報管理面で、匿名化出来ない事もあるから被験者の同意の尊重と秘密の保持が重要である。その面は臨床遺伝学を目的とする協同研究施設順心会家族性腫瘍研究所が担当して、研究を行ったので癌研家族性腫瘍センターは初動期の目的を達成し得た。
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