研究課題
特定領域研究
1)新たに約300の変異株を作製することにより、枯草菌の全機能未知遺伝子を含む変異株バンクが作製された。その結果、富栄養培地・37度での増殖には271遺伝子が必須であることが明らかとなり、細胞増殖の基本システムが明らかとなった。2)機能未知の必須遺伝子の一つがtRNA中の塩基修飾にかかわること、必須膜タンパク質YneSが、PlsXとの共に、リン脂質合成の第一ステップに関与することを発見した。必須GTP結合タンパク質YlqFについて、50Sリボゾーム粒子の形成の最終段階に関与することを明らかにした。3)57種のリボソームタンパク質遺伝子の破壊株の構築を試み、既知の破壊可能遺伝子を含め、合計22種のリボソームタンパク質遺伝子が単独破壊可能であることが明らかとなった。4)枯草菌のパラログ遺伝子の解析により、polAと-ypcPの2重破壊は、岡崎プライマーRNAの除去機能が失われ致死となるという、新しい知見を得た。5)プロテオーム、トランスクリプトーム、遺伝学的解析により、既知119遺伝子に加えて、新たに175遺伝子がスポア形成期に特異的に発現することを明らかにし、その発現を制御するシグマ因子を同定した。さらに、約90種類の胞子タンパク質についてGFPを用いた局在解析を行い、少なくとも10種類の局在パターンを見出し、胞子中でのタンパク質の配置という、今後の重要な研究テーマを明らかにした。6)酵母2ハイブリッド法、細胞内複合体の質量分析計による解析による、相互作用解析も試み、ECFシグマ因子の活性を制御するアンチシグマ因子、Comタンパク質の活性を制御するRapタンパク質、胞子形成開始キナーゼの活性制御にかかわるYheIHタンパク質、FtsZと結合し、細胞分裂に関与するYlqFタンパク質、DnaA, Nと相互作用し、複製開始の制御に関わるYabAタンパク質を見出した。
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