申請者らは、走査型プローブ顕微鏡と近接場顕微鏡を連携したシステムにより、細胞内で発現するGFP(Green Fluorescent Protein)分子や細胞表面に局在するレセプター分子などを10ナノメートルレベルの空間分解能でイメージングすることに成功しており、ゲノム情報にもとずいた細胞内で発現する生化学ネットワークを細胞内外のナノ空間情報と連携させて解析することを確立する。そこで、今回は、グルコースの存在下でGFPを発現するGFP形質転換酵母の時間経過にともなうGFP融合タンパク質の挙動をSNOAM(走査型近接場光/原子間力顕微鏡)システムを用いて解析することを検討した。まず、SD-W培地20℃でGFP形質転換酵母を培養した。対数増殖期の酵母細胞を分取し、レーザー共焦点顕微鏡にて励起光488nmを照射し、グルコース添加後の酵母細胞の蛍光像の経時的変化を観察した。同様に対数増殖期の酵母細胞を分取し、SNOAMにて観察した。GFP形質転換酵母の共焦点顕微鏡による観察によって、グルコース添加後の時間経過ごとの蛍光変化より細胞内部から細胞表層へGFP融合表層タンパク質の発現の様子が観察された。この発現の観察では細胞表面の蛍光に強弱がみられた。このことからGFP目的タンパク質である細胞表層タンパク質が、細胞表層で局在していることが認められた。また、細胞の分裂周期によってこの表層タンパク質の局在が異なることが観察された。この局在の詳細は、既存の共焦点顕微鏡では観察できなかった。そこでSNOAMを用いて観察したところ、酵母細胞の形状および蛍光像が得られた。
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