生体内の反応には、多くの場合数個以上の遺伝子産物のアセンブリーにより形成されるタンパク質複合体が反応を司る構成単位として用いられている。これらのタンパク質複合体を同定しその分子機能を解明するためには、現在急速に進行中のゲノム解析とともに生化学的アプローチなどを組み合わせた解析による理解が必要となる。そこで本研究では、膜タンパク質が複合体を形成することにより機能していることが明かとなりつつある分泌系関連遺伝子を用いてタンパク質複合体の同定法を開発し、この方法を用いてゲノム中に見い出される膜タンパク質の生化学的な機能単位を系統的に同定することを目標としている。 平成12年度には、シロイヌナズナのゲノム情報と遺伝子導入が容易で生化学的解析のための大量培養の可能なタバコ培養細胞BY-2株を用いた遺伝子発現系を組み合わせることにより、膜タンパク質複合体の同定法のを開発するための材料として、以下のCDNAの単離を行った。(1)シロイヌナズナのSec61pホモログ。(2)ゴルジ装置に局在することが期待される原核細胞のリポ多糖合成酵素のシロイヌナズナホモログ。(3)Sec22のシロイヌナズナホモログ。 また、植物のSec61pホモログの検出の為に、植物各種のSec61pの中で保存されている領域に対する抗体を作成し、植物抽出画分に対する反応性を検討した。その結果、この抗体は膜画分に回収され、Sec61pホモログの大きさに相当するポリペプチドを特異的に認識することを確認した。
|