研究課題/領域番号 |
12210016
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
彦坂 興秀 順天堂大学, 医学部, 教授 (70120300)
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研究分担者 |
滝川 順子 順天堂大学, 助手 (90053339)
川越 礼子 順天堂大学, 助手 (30138250)
佐藤 真 (佐藤 真琴) 順天堂大学, 助手 (90255688)
坂上 雅道 玉川大学, 学術研究所, 助教授 (10225782)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
39,600千円 (直接経費: 39,600千円)
2001年度: 39,600千円 (直接経費: 39,600千円)
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キーワード | 大脳基底核 / 報酬 / 動機づけ / 眼球運動 / 意志決定 / ドーパミン / 強化学習 / 尾状核 / 単一ニューロン活動 / 学習 / 視覚性応答 / 大脳皮質前頭葉 |
研究概要 |
報酬の期待は、私たちの行動の動機をつくり、意志決定に影響を及ぼす。最近の研究から、多くの脳領域においてニューロン活動は報酬期待により変化することがわかってきた。しかしながら、どこでどのようにして報酬期待によるニューロン応答の変化が起こり、どのようにそのようなニューロン活動が運動の出力に変換されるのか、未だ明らかとなっていない。我々の研究室での眼球運動を使った一連の研究では、大脳基底核が報酬が得られる場所に注視を導くのに重要な役割をしていることが示唆された。まず第一に、尾状核の投射ニューロンは報酬位置に対して極端にバイアスがかかった応答をする。これらニューロンは、通常反対側にある大きな報酬に選好性を示す。この報酬によってバイアスされた信号は、黒質網様部の脱抑制回路を介して上丘に伝えられる。この結果、報酬が期待される場所にたいしてサッケードが早く起こるように、上丘ニューロンに興奮性のバイアスがつくりだされる。第二に、尾状核ニューロンの視覚応答性は報酬期待によって大きく変化するが、このことが報酬が期待される場所へのサッケードの準備を促進させることになる。この神経メカニズムとしては、空間性の皮質入力が、報酬予測の誤差信号を運ぶドーパミン性入力によるシナプスでの可塑的な変化を介して、強められたり弱められたりするということが考えられる。これらのデータは、行動の学習とニューロンの可塑性をうまく説明する強化学習説を強く支持する。我々の結果は、強化学習モデルが予測するようなニューロンネットワークが大脳基底核に存在することを示している。一方、実際の大脳基底核のネットワークは、現在の提唱されているモデルよりも、行動的な文脈にたいしてより適応的である。報酬志向的行動の神経機構を理解するためには、非対称報酬サッケード課題を使った研究は、今後理想的なパラダイムとなりうる。
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