研究課題/領域番号 |
12210036
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
玉岡 晃 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (50192183)
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研究分担者 |
望月 昭英 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40301080)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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キーワード | アルツハイマー病 / 過酸化脂質 / アミロイドβ蛋白 / アポリポ蛋白E / トランスフェリン / アルデヒド脱水素酵素 / 酸化ストレス / 抗酸化作用 |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)脳では酸化ストレスが亢進しているが、本研究では過酸化脂質の指標としてthicbar bituric acic-reactive substance(TBARS)を用い、ADの危険因子であるアポリポ蛋白E(APOE)、トランスフェリン(Tf)、ミトコンドリア型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の遺伝子多型やAD脳共通の病理所見である脳内アミロイドβ蛋白(Aβ)分子種との相関を解析した。 凍結保存した孤発性AD脳21例、対照脳16例より大脳皮質を切り出し、TBARSを指標として過酸化脂質を測定した。脳内に蓄積したAβは、トリス生食抽出画分とその沈渣の蟻酸抽出画分に含まれるものをそれぞれ可溶性Aβ、不溶性Aβとして、サンドイッチELISAを用いてAβ40とAβ42を分別定量した。また、凍結脳より抽出したDNAを用いて、APOE、Tf、ALDH2の遺伝子多型を同定した。 AD脳の過酸化脂肪質は対照脳より有意に増加しており、酸化刺激による過酸化脂質の増加はAD脳においてAPOE-ε4のアレル数と有意な相関を示した。APOEの遺伝子型を一致させてもAD脳では対照脳に比して過酸化脂質の有意な高値がみられ、TfやALDH2の遺伝子多型と過酸化脂質の相関については、晩発性ADで頻度が高いTfのC2やALDH2の2型において過酸化脂質の増加傾向が認められた。従って、これらの遺伝子多型が酸化ストレスを助長することによってADの危険因子として作用する可能性が示唆された。脳内AβとTBARSとの相関の検討では、不溶性のAβ42とのみ過酸化脂質は有意な相関が認められ、酸化ストレスによりAβ42の発現が誘導されることとの関連や、Aβ42がフリーラジカルのより強力な発生源として作用する可能性を示唆していた。また、酸化ストレスはADの病態カスケードの進展に関与している可能性が高いと考えられた。
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