研究課題/領域番号 |
12210059
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 勝重 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80291342)
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研究分担者 |
佐藤 容子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70251501)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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キーワード | 膜電位感受性色素 / 光学的計測法 / イメージング / 脳幹 / 脳神経核 / 鶏胚 / グルタミン酸受容体 / サイレントシナプス |
研究概要 |
老化をはじめとする神経系の変性では、脳皮質領域が侵されることが多く、植物状態にはなり得ても、脳幹領域が障害をうけて個体死に至ることはない。これは、脳幹と皮質との間で、神経栄養因子への依存性などをはじめとする機能的・器質的な特性に何らかの違いがあるためと考えられる。本研究では、この仮説を検証するために、脳幹領域と皮質領域との機能発生/機能破綻過程を比較検討し、両者の間にどのような相違が見られるのかを明らかにすることを目的とするものである。 本年度は、上記の目的のうち、脳幹の機能発生・機能構築過程に関して研究を進めた。具体的には、孵卵4日から10日の鶏胚から脳神経をつけたまま脳幹を摘出し、膜電位感受性色素(NK2761)で染色した後、各脳神経(三叉神経、舌咽神経あるいは迷走神経)を吸引電極で刺激し、128-1020チャネル同時測定システムにより脳幹内のニューロン活動を光学的シグナルとして検出した。検出したシグナルに関して、以下のことが明らかとなった。 1)検出した光学的シグナルにの波形解析から各脳神経の感覚核、運動核の機能マップを作成した。運動核の機能発現は非常に早く、迷走神経では孵卵4日から光学シグナルが検出できた。一方、感覚核におけるシナプス機能の発現は運動核に比較すると遅く、孵卵6から7日の段階からEPSPが検出できた。脳幹における運動核、感覚核の機能発現は、皮質と比較して格段に早いものであった。また、この機能マップから、各脳神経核は、発生段階においてはそれぞれが明らかな境界で区切られているのではなく、一部お互いに重なり合っていることが明らかとなった。 2)感覚核におけるシナプス伝達は、どの脳神経においてもグルタミン酸を伝達物質としており、シグナル伝達にはNMDA型とnonNMDA型受容体の両サブタイプが関与していることが明らかとなった。 3)シナプス機能の発現時期は、三叉神経、舌咽神経、迷走神経ですべて同じではなく時期的な差があることが明らかとなった。また、どの脳神経感覚核においても、シナプスはその機能が顕在化する以前に潜在的に形成されていて、細胞外液Mg^<2+>によって抑制されていること、すなわち、シナプス機能の発現には、NMDA型受容体が深く関与していることが明らかとなった。
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