大脳皮質一次視覚野の個々のニューロンが、領野全体の活動状況に応じて、どのようにその出力を最適化しているのかを検討した。 麻酔・非動化したネコの17野のニューロン活動を記録し、受容野に呈示した最適パラメータ(線方位、空間周波数、大きさ、コントラスト、動き方向)のグレーティングパッチに対するスパイク応答が、受容野周囲に呈示したグレーティングのパラメータに依存して、どのような修飾を受けるのかを調べた。受容野周囲刺激の効果は多くの場合抑制性であり、抑制の強さは、受容野刺激と周囲刺激の図形パラメータが類似するほど強まり、同一の場合に最大となった。また、この現象のメカニズムを調べるために、皮質内抑制性神経伝達物質GABAの受容体拮抗薬ビククリンを微小イオン泳動投与することにより、抑制性神経伝達を遮断したときの、受容野周囲刺激の効果を観察した。しかし、抑制の遮断は、受容野周囲刺激による抑制性修飾にほとんど影響を与えなかった。 これらの結果は、受容野周囲刺激の効果が、刺激特徴選択性を等しくするニューロンドメインのネットワークレベルで生じており、直接のGABA抑制よりも、興奮性ネットワークの活動低下を反映したものであることを示唆する。
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