研究課題/領域番号 |
12210110
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
大野 耕策 鳥取大学, 医学部, 教授 (70112109)
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研究分担者 |
二宮 治明 鳥取大学, 医学部, 助教授 (80212124)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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キーワード | ニーマン・ピック病C型 / 神経変性 / 細胞内脂質輸送 / コレステロール / 早期エンドソーム / 小胞輸送 / コレラトキシン / ガングリオシド |
研究概要 |
ニーマン・ピック病C型(NP-C)は、細胞内コレステロールの小胞輸送に関与する分子NPC1の欠損によって、小児期の神経変性を特徴とする疾患である。この疾患のモデルマウスでは神経症状の進行とほぼ平行して、プルキンエ細胞と視床VPL/VPM核神経細胞が脱落する。さらに、後根、後索、後索核などの感覚系が特異的に変性をおこすことを見出しつつある。本研究課題は、プルキンエ細胞と知覚経路が系統的に変性する機構を明らかにすることを課題とする。NP-Cとモデルマウスでは、臓器へのコレステロール、糖脂質の蓄積を特徴とするが、これらの脂質の蓄積が直接の神経障害とはなり得ない可能性が指摘され始めている。我々は、(1)NPC1蛋白質が関与する細胞内脂質輸送経路の解析、(2)NP-C細胞で増加・減少しているmRNA群の解析と言う2つのアプローチによって、NPC1欠損による神経変性機構の解明を目指している。初年度は、NPC1蛋白質がリソソーム・後期エンドソームからの脂質輸送だけではなく、早期エンドソームから細胞膜への輸送にも関与する可能性を報告する。 ガングリオシッドGM1と結合するコレラトキシン(CT)をプローブとして、NP-C細胞(患者細胞およびCHO-npc1^<trap>細胞)での分布を調べた。NP-C細胞ではコレステロールの蓄積とは異なる領域に蛍光標識CTの蓄積を認めた。この蓄積はRab-5陽性の小胞で、早期エンドソームと考えた。^<125>I-標識CT負荷後の動態を検討し、NP-C細胞では結合するCTの量には変化がないにもかかわらず、培地中に高分子のまま放出されるCT量が減少し、細胞内のCTが多いことを見出した。さらにCT負荷後のcAMPの上昇が高いことを見出した。NP-C細胞では早期エンドソームに取り込んだCTの細胞外への排出過程にも欠陥があり、細胞内でCTの蓄積とCTによる細胞の活性化が持続する可能性が示された。さらにモデルマウス初代培養プルキンエ細胞の樹状突起周辺にCTが蓄積していることを見出した。NP-CではガングリオシッドGM1によって認識される因子の作用が強く発現し、そのために神経細胞変性に結びつく可能性を示している。今後、脳内でGM1と特異的に結合するリガンドを同定し、この仮説を証明していく。
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