研究概要 |
1)ポリグルタミン発現誘導細胞において可溶性ポリグルタミン融合蛋白(16Q,,60Q,150Q)を免疫沈降してそのイムノブロットをHDJ1,HDJ2,HSP70,HSC70の抗体によって染色した。異なる長さのポリグルタミン鎖を発現した細胞からポリグルタミン融合蛋白を免疫沈降したところ150Qを発現した細胞からの免疫沈降ではイムノブロットによってHDJ1,HDJ2,HSP70,HSC70が結合していることが確認された。このことはこれらのHSPがポリグルタミン鎖の伸長によって引き起こされる構造異常を認識していることを示唆している。 2)ポリグルタミン鎖を安定性の極めて高い蛋白質の一つであるマッコウクジラミオグロビンへ挿入し、ポリグルタミン鎖の構造およびポリグルタミン挿入に伴う蛋白質の構造についてCD、IR、常磁性NMRをもちいて検討した。ミオグロビンに12Q,28Q,35Q,50Qを挿入した融合蛋白を作成した。これらの融合蛋白はミオグロビンの安定性から純度の高い精製が可能であった。1C2抗体によるイムノブロットを行ったところ28Q,35Q,50Qを挿入した変異ミオグロビンが認識され、挿入ポリグルタミンが疾患関連の構造を取っていることが示唆された。CD,IRの検討結果はwild typeとの差スペクトルにおいてポリグルタミン伸長に伴うピークを確認できた。これらの結果からポリグルタミンの伸長に伴い分子内βsheet構造と分子間βsheet構造を取ることが示唆された。NMRによる検討の結果はミオグロビンのコアーの部分の構造には影響が少ないことが示された。さらにポリグルタミンの挿入に伴う分子の不安定性がアミロイド形成に寄与している所見を得ている。
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