研究課題
特定領域研究
本研究は「細胞性免疫応答やTh1免疫応答を強く惹起するアジュバント活性を示すペプチドを結核菌の分泌タンパク質より探索し、それを用いてがん免疫を増強し、腫瘍排除や腫瘍転移を阻止する有効な免疫法を開発すること」を目的とした。まず結核菌が分泌するAg85BのTh1エピトープであるPeptide-25による抗腫瘍免疫増強機構を解析した。その結果、(1)Peptide-25自身は直接抗原提示細胞を活性化できないが、Peptide-25特異的CD4^+ T細胞存在下に抗原提示細胞をTh1反応誘導型へと活性化できること、(2)この抗原提示細胞の活性化によって腫瘍特異的CTLの増殖とクローン出現頻度が上昇すること、(3)この腫瘍特異的CTLの活性化増強によって抗腫瘍免疫反応が増強し、腫瘍細胞の生体内での生着を拒絶できることが示された。そこで、Peptide-25を特異的に認識するTCRを発現しているトランスジェニックマウス(P25 TCR-Tg)を作出しPeptide-25によるTh1分化誘導機構をさらに検討した。その結果、(4)P25 TCR-TgナイーブCD4^+ T細胞はTCRからのシグナルのみで、副刺激分子、サイトカイン非依存的にTh1特異的転写因子7-betの発現が上昇すること、一方でTh2特異的転写因子GATA-3の発現を低下させ、結果としてTh1細胞へと分化できることが示された。以上のことから、Peptide-25はPeptide-25特異的CD4^+ T細胞に対し強力なTh1応答を惹起し、その結果抗原提示細胞を含めた反応環境をTh1型へと誘導し、共存する他の抗原に対する特異的免疫応答をも選択的にTh1型へと誘導する活性、Th1応答誘導型ヘルパーペプチドの効果を有していることが示唆された。それを利用することにより腫瘍特異的CTLの活性を増強できることが明らかとなった。
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