研究概要 |
本年度は安定同位体標識した紫外線損傷DNAを調製し,これを用いることで紫外線損傷DNAを認識・修復する高度好熱菌由来のCPD photolyaseの基質認識メカニズムの解明を行った.最少培地を用いて同位体標識した大腸菌DNAからヌクレオチド混合物を抽出・分離し,DNAポリメラーゼ反応を利用してTT配列を含む標識DNAオリゴマーを調製した.得られた標識DNAに紫外線を照射してシクロブタン型ピリミジンダイマー(CPD)を形成させ,相補鎖と組合せて二重鎖とした.多次元NMR法により,NMRシグナルの帰属を行った後,DNAの^<31>P-NMRシグナルを利用した解析から,CPDの認識にはDNAのリン酸基とphotolyaseの塩基性アミノ酸残基による静電相互作用が重要であることが判明した.またphotolyaseの変異体を用いた解析から,結合するDNAの配向を決定することができた.さらに,CPD部位はDNA二重らせんの外部に飛び出した(フリッブアウト)状態で,photolyaseの2つのクラスターにより形成されるキャビティー部分に結合することが明らかとなった.
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