研究課題/領域番号 |
12213041
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大橋 貴 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10282774)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | HTLV-I / ATL / animal model / CTL / vaccine / MHC-I |
研究概要 |
ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)は、成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスであることが知られている。ATL発症に至る過程には感染細胞側の多段階の変化と宿主免疫応答の変化が関連していると考えられており、ATLの発症機序を解明するには、感染細胞側の癌化機構と宿主側の発癌防御機構について対照的に解析することが必要である。我々はこのような解析を行うために、ラットを用いたATL様疾患動物モデルの樹立を試み、これまでにHTLV-I感染細胞をヌードラットに接種することにより全身性に腫瘍形成が起こる系を確立した。本研究では、このモデル系を用いてHTLV-IがコードするTax遺伝子を組み込んだDNAワクチンの有効性を評価した。HTLV-I Tax発現プラスミドをGene Gunを用いて免疫正常ラット(F344/N Jcl-rnu/+)に接種したところ、そのラットのT細胞は有意に高いHTLV-I感染細胞特異的細胞傷害性T細胞(CTL)活性を獲得した。このT細胞をHTLV-I感染T細胞株の接種と同時に同系のヌードラット(F344/N Jcl-rnu/rnu)に移入したところ、T細胞を移入しない場合に認められる腫瘍形成と転移が抑制された。また、Tax発現DNAワクチンにより誘導した長期培養CTL細胞株とHTLV-I感染T細胞株FPM1-V1AXとを共培養したところ、Taxを発現しているにも拘わらずCTLに対する感受性が低下したFPM1-V1AX細胞のサブクローンが樹立された。この細胞ではMHC-Iの発現低下が認められたことから、このことがCTLからのエスケープに関与している可能性が示された。本研究により、HTLV-I腫瘍に対するDNAワクチンの有用性が示唆されたとともに、感染細胞特異的免疫応答を受けることで、生体内において感染細胞がCTLから逃避しうる形質を獲得する可能性も示された。
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