研究課題/領域番号 |
12213049
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
酒井 秀紀 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (60242509)
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研究分担者 |
田内 克典 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (60260551)
竹口 紀晃 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (00019126)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2000年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 大腸がん / 高分化腺癌 / トロンボキサンA_2 / トロンボキサンレセプター / トロンボキサン合成酵素 / シクロオキシゲナーゼ / 遺伝子発現 / 免疫組織染色 |
研究概要 |
本研究では、大腸癌患者から摘出した腫瘍組織およびその近傍の正常組織の間でトロンボキサンA_2(TXA_2)レセプター、トロンボキサン合成酵素、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発現量変化について検討した。 腫瘍組織におけるTXA_2レセプタ-mRNAの発現は、正常組織に比べて高い症例もあったが、再現性が低く、全く変化の見られない症例もあった。しかし興味深いことに、トロンボキサン合成酵素mRNAは、大腸癌のうち高分化腺癌において、再現性の良い発現量増大が観察された。抗トロンボキサン合成酵素抗体を用いた免疫組織染色において、合成酵素タンパク質の発現量増大が、癌細胞自身に由来していることがわかった。COX-2mRNAの腫瘍組織における発現量増大の程度はトロンボキサン合成酵素の場合ほど顕著ではなかった。TXA_2レセプターおよびトロンボキサン合成酵素mRNAの発現は、各種ヒト大腸癌培養細胞(KM12-L4、T-84、HT-29、WiDr)において再現性良く観察された。一方、COX-2mRNA発現の再現性はトロンボキサン合成酵素の場合よりも乏しかった。 大腸癌培養細胞のHT-29およびKM12-L4に対して、トロンボキサン合成酵素阻害剤を付加しても細胞の増殖能に変化はなかった。トロンボキサン合成酵素阻害剤あるいはトロンボキサンA_2安定アナログは、大腸癌培養細胞の遊走能を変化させなかった。 以上の結果から、高分化腺癌の腫瘍組織で発現が増大するトロンボキサン合成酵素は、大腸癌と密接に関連しているものと考えられた。トロンボキサン合成酵素により産生されたTXA_2は、オートクライン因子として、癌細胞自身に作用するものではなく、近傍の血管内皮細胞などに影響を与えている可能性がある。他方、トロンボキサン合成酵素の発現自体が、大腸癌の発生・進展に関与している可能性も考えられる。
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