研究課題/領域番号 |
12213159
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
芝崎 太 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (90300954)
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研究分担者 |
松尾 良信 林原生物科学研究所, 藤崎細胞センター, 研究員
大森 信彦 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (80311421)
星川 裕 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (80280626)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2000年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | Bcl-2 / リン酸化 / 細胞死 / 癌化 / 抗ガン剤 / calcineurin / 脱リン酸化 |
研究概要 |
様々な刺激によるアポトーシスを阻害する重要な因子としてBcl-2 family memberがこれまでに同定されている。我々はこれまでにカルシニューリンがBcl-2のN末端にあるBH4 domainを介して直接結合し、Bcl-2を脱リン酸化することを発見した。Bcl-2はリン酸化部位としてS70を含め7-8ヶ所のセリン残基が報告されており、これらの部位をリン酸化する特異的なリン酸化酵素が存在すると考えられる。我々は、これまでの知見より、Bcl-2がリン酸化されると、その結合蛋白でアポトーシス誘導作用のあるBaxがBcl-2より乖離し、ミトコンドリアからのチトクロームcの放出、ひいてはアポトーシスの誘導という一連のapoptotic machineryが始動するという仮説を立てた。 これらBcl-2の制御機構解明を目指して、まず、最もBcl-2の機能制御に関与するといわれるS70汲びS70の特異的リン酸化抗体を作製した。内因性のBcl-2を過剰発現しているヒトB細胞リンパ腫瘍細胞株(DND39)を用いてリン酸化Bcl-2の挙動をこの特異抗体にて調べたところ、(a)Bcl-2のリン酸化はS70およびS24を含め多数の部位がリン酸化されている。(b)リン酸化は抗ガン剤であるpaclitaxel(Taxol)及びステロイド剤であるdexamethasoneにより誘導され、各々リン酸化部位が異なった。(c)またcycloheximide(CHX)にて発現が抑制されることより、何らかの刺激によりde novo合成、または制御されるBcl-2キナーゼの存在が確認された。(d)ヒト乳癌細胞(駒込病院外科との共同研究)、大腸癌(岡山大学第二病理との共同研究)、及び膀胱癌(大分大学病理、熊本大学薬理との共同研究)を用いた組織染色では各癌組織中にリン酸化Bcl-2を広範囲に認めた。特にS70のリン酸化は乳癌、膀胱癌において抗ガン剤であるTaxolの反応性によく相関し、またS24のリン酸化は大腸癌の分化度と逆相関していた(投稿中)。今後さらに症例を増やして検討していく予定である。一方、Bcl-2とカルシニューリンの関連を各種の変異体を用いて解析したところ、カルシニューリンの脱リン酸化活性はBcl-2/Baxの二量体形成に必須であることが判明した。これに加えて、Bcl-2キナーゼによりS70とS24がリン酸化された場合には、BaxがBcl-2から乖離し、特にS24のリン酸化ではBcl-2自体がアポトーシスを誘導する事実が明らかとなった(投稿中)
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