研究課題/領域番号 |
12213160
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
反町 典子 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (30217468)
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研究分担者 |
烏山 一 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (60195013)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | NK細胞 / CD94 / NKレセプター / マウス / Qa-1 / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
本研究はNK細胞の標的認識に関わる新規NKレセプターの同定及びその性状解析を目的として行った。これまでにNK細胞に対する種々のモノクローナル抗体を作製し、発現分布、NK細胞傷害活性に与える影響から、新規分子を認識すると考えられる抗体を選別し、性状解析を進めた結果、その中の一つがマウスCD94を認識することを明らかにした。マウスCD94は、そのcDNAは単離されていたものの、特異的な抗体の不足によってマウス個体内における発現分布や実際のNK細胞機能における役割などの解析は進んでいなかった。そこで、得られた抗体を用いてNK細胞の標的認識におけるCD94機能を解析した。その結果、CD94が全てのNKおよびNKT細胞に発現すること、NKおよびNKT細胞はCD94強陽性とCD94弱陽性細胞の2種類の細胞亜集団からなることを見いだした。抗CD94抗体の添加により、本来殺傷しないはずの自己に対する細胞傷害活性が誘導された。さらに非自己に対する細胞傷害活性も増強された。この現象の分子機構を明らかにするために、CD94が認識する標的細胞上の分子の解析を行った結果、マウスCD94は標的細胞上のQa-1分子を認識して細胞傷害活性を抑制する、抑制性レセプターとして機能することが明らかとなった。CD94はヒトにおいて解析が進んでいるが、遺伝的背景が明らかなマウスを用いての解析はNK細胞の自己非自己の識別機構および自己寛容の機構を解析する上で大きな利点があり、必須である。本研究からNK細胞の自己寛容の破綻には少なくとも一種類の抑制性NKレセプターを阻害することでも可能なことが示された。このことは複数の抑制性レセプターを組み合わせることによってさらに強力な自己寛容の破綻を誘導することが可能なことを示唆しており、同時にがん免疫療法への効果的なNK細胞の応用に抗抑制性NKレセプター抗体が導入できるかどうか、その応用に向けての検討の必要性をも強く示唆するものである。
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