研究課題/領域番号 |
12215016
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
幡野 雅彦 千葉大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20208523)
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研究分担者 |
岡田 誠治 千葉大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50282455)
徳久 剛史 千葉大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20134364)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2000年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | IAPファミリー / アポトーシス / 細胞周期 / T細胞 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
1.lck-TIAP遺伝子を受精卵に導入してトランスジェニック(lck-TIAP Tg)マウスを6系統作成し、その内の2系統で胸腺と脾臓由来T細胞でのTIAPの強発現を確認した。これらのlck-TIAP Tgマウスの胸腺細胞および、脾細胞におけるT細胞亜分画を各種モノクローナル抗体とFACSを用いて解析した結果、胸腺T細胞および末梢T細胞においは、正常細胞と比較して分化の差は認められなかった。またT細胞数についても各週齢においてコントロールとの差はなく、血清除去、抗CD3抗体処理、抗Fas抗体処理などによるアポトーシスにも差は認められなかった。次にlck-TIAPT Tgマウスと正常マウスの胸腺細胞をPMA+Ionomysinで刺激し、その増殖に差がみられるかどうかを検討した結果、Tgマウスにおいて3-5倍程度の3Hの取り込みの増加を認めた。FACS解析の結果、CD3-CD4-CD8lowの未熟胸腺細胞が有意に増殖していることが明かとなった。しかし抗CD3抗体による増殖や脾臓成熟T細胞の増殖反応は差が認められなかった。以上の結果から、TIAPの抗アポトーシス作用は強くはなくむしろ細胞増殖に対して分化段階特異的に作用が強く見られた。分化途中の未熟T細胞は増殖シグナルに対する準備がないため正常細胞では死に至るが、TIAP過剰状態ではS期まで入ることが出来ると考えられる。細胞分裂期におけるTIAPと他の分子との相互作用につきさらに検討が必要である。 2.lck-TIAP Tgマウスは約1年の経過観察ではリンパ腫などの腫瘍は発症しない。コントロールおよびTgマウスにX線を照射し発癌能について検討した結果、約6ヶ月以内にコントロール、Tgともに同頻度で胸腺腫を発症した。しかしTgマウスにおいてより大きく進行の早い腫瘍が認められた。多くの臨床検体の解析よりSurvivinと癌化との関連が議論されている。TIAP/m-survivinは直接癌化をpromoteする蛋白ではなく癌の進行過程に作用すると考えられる。 3.TIAPをプローブとしてマウスゲノミックDNAをスクリーニングし、新しいTIAPファミリーの遺伝子(TIAP2)を同定した。RT-PCR法でその発現を確認した。TIAP2は骨髄、心臓、胸腺など多くの正常マウス組織で発現が認められた。TIAP2はマウス9番染色体上に位置し、TIAPの位置(第11番染色体)とは異なっていた。またTIAPが細胞周期特異的な発現を示すのに対して、TIAP2の発現は細胞周期特異性を示さなかった。
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