研究課題/領域番号 |
12215029
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松井 泰 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50229407)
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研究分担者 |
田中 一馬 北海道大学, 医・遺伝子病研, 教授 (60188290)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2000年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | がん抑制遺伝子 / l(2)gl / トモシン / Sro7 / rho型低分子量G蛋白質 / 酵毋 |
研究概要 |
細胞周期進行の制御異常ががんの一因となっている。一方、がん細胞は、形態異常や細胞骨格系の異常をともない、その異常が悪性化に深く関わっている。正常細胞には細胞形態や細胞骨格系の異常を検知して細胞周期制御へといたるモニター経路が存在する。細胞形態や細胞骨格系の制御にはrho型低分子量G蛋白質の経路が関与している。したがって、本研究ではrho型低分子量G蛋白質関連経路を起点として、形態と細胞周期制御をカップルさせるモニター経路を出芽酵母をモデル生物として明らかにして、細胞形態異常による細胞周期停止機構を解明し、がん細胞悪性化に対抗するための基礎的知見を得ることを目的としている。そこで、細胞の形態異常により細胞増殖を停止させる経路の解明を、l(2)glがん抑圧遺伝子について解析を出芽酵母において行った。l(2)glがん抑圧遺伝子の構造的機能的ホモログであるSro7pの欠損は、酵母においては細胞増殖の高進などのcell proliferation様表現型とならず、増殖停止となる。このことは、Sro7p機能異常を検知して増殖を停止させる経路の存在を示唆するものと考え、解析を行った。その結果、この増殖停止にはRrs1p経路が関係していることを明らかにした。Rrs1p経路は、Exocytosis異常をモニターしリボソーム合成を停止させる経路であり、Rrs1pは、ヒトなどにホモログが存在する。Rrs1pとの結合蛋白質の解析を行い、エプスタインバーウイルスのEBNA-1結合蛋白質(EBP2)の酵母ホモログEbp2pを同定した。EBNA-1のヒトEBP2への結合は、EBNA-1によるB cell lymphomaのproliferationに関与していると考えられており、EBP2は、リボソーム合成に関与している。以上の結果は、Rrs1p経路ががん抑制に機能している可能性を示している。すなわちRrs1p経路を高進させる薬剤の開発により新しい作用機作によるがん制御を行なえる可能性がある。
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