研究課題/領域番号 |
12215064
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
門松 健治 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80204519)
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研究分担者 |
村松 寿子 名古屋大学, 医学部, 講師 (50182134)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2000年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | ミッドカイン / LRP / LDL受容体 / PTPζ / PI3K / MAPK / コンドロイチン硫酸 / Src |
研究概要 |
ミッドカイン(MK)はヒト癌に高発現するヘパリン結合性成長因子である。がんの発生進展におけるMKの最も重要な機能はその細胞移動促進能であると考えられる。本研究ではその分子基盤を解析した。細胞移動は基質に固層化されたMKによるものでいわゆるhaptotaxisであった。その際、多硫酸化されたコンドロイチン硫酸鎖を有する蛋白チロシンフォスファターゼPTPζが細胞表面受容体として働く可能性が強く示唆された。細胞内シグナルの伝達機構としてSrc、PI3K、MAPKの順番のカスケードがあった。またPDGFとの相乗効果を見出した。MKの細胞移動促進は癌細胞にとどまらず、血管再狭窄など組織再構築における中心的な機能であった。本研究ではまた、ヒト癌患者の80%以上が血中MKの高値を示すこと、MKが抗アポトーシス能をも有することを明らかにした。さらにMKと結合能を持つプロテオグリカン、シンデカン-4がfocal adhesion形成に関与することを示した。 本研究でMKの細胞移動促進における作用機構の概要は理解できたと思われる。一方、最近我々はMKと化学的に特異的にクロスリンクされる分子としてLRP1を同定した。LRP1はLDL受容体ファミリーのメンバーで従来リポタンパクをはじめとする多数のリガンドのエンドサイトーシスを司ると考えられてきた。ところがこの2年間にWnt、Reelinといった重要な細胞外シグナル分子の受容体がLDL受容体ファミリーに属し、しかもそれらはFrizzled、CNRsといった他の受容体と複合体を作る証拠あるいは可能性が示された。LRP1がMKの受容体としてどのようにシグナル伝達に関わっているのか、PTPζとLRP1の機能的あるいは物理的相互作用はあるのかなど重要な問題が今後の課題になると考えている。
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