lbcは白血病細胞のDNAからNIH3T3細胞をトランスフォームする癌遺伝子として同定されたが、その細胞由来の完全長cellular lbc遺伝子(c-lbc)を同定した。c-lbcは2813アミノ酸からなる推定分子量309kDaの巨大タンパク質をコードしており、このなかにはPKA制御サブユニットRIIと結合するタンパク質断片として同定されたアンカータンパク質Ht-31を含むほか、シグナル伝達に関わると考えられる領域が複数見出された。はじめに同定されたonc-lbcには強いトランスフォーメーション能が認められたがc-lbcにはほとんど認められなかったことから、onc-lbcはシグナルを伝える上でのいわば制御領域を失うことによってトランスフォーメーション能を獲得したと考えられた。lbcを細胞内で強制発現させるとstress fiberを形成したことからlbcはrhoを介したアクチン骨格型の制御に重要な働きをしていることが判明した。c-Lbcは細胞質に局在しており、また、c-Lbc内カルボキシル末端領域にHt-31以外にRIIと結合する領域を新たに見出した。
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