研究概要 |
IL-1は、免疫、炎症、造血、内分泌等の生体反応や細胞の増殖分化の調節に重要な役割を果たしている。本研究では、ヒトメラノーマ細胞A375に対するIL-1の増殖抑制機構を中心とするIL-1のシグナル伝達機構、in vitro,in vivoにおけるIL-1Rおよびそのファミリー遺伝子の発現調節機構、IL-1の構成的な産生機構を明らかにする。本年度の研究によって、以下の点が明らかになった。 1)アンチザイム(AZ)の翻訳がIL-1刺激により促進されることを示唆する結果が得られた。これは新しいAZの発現制御系である。現在、どの遺伝子部分がそれに関与しているか解析中である。 2)CHOPは、p38MAPK非依存的な機構で、IL-1で誘導されるIL-6の産生増強に重要な役割をたしていること、CHOPの作用は、他の転写制御因子との相互作用を介していることが明らかになった。 3)IL-1感受性株A375-6からIL-1耐性株A375-R8が得られているが、ともにTNFの増殖抑制作用に感受性である。しかし、TNFによりR8のみにアポトーシスが誘導された。解析の結果、A375-6株に存在する抗アポトーシス因子が、R8では欠損していることが明らかになった。 4)IL-1Rファミリーで、細菌やその成分のシグナルを伝達するTLR2,TLR4のmRNA発現を調べたところ、マウスの肝細胞でLPS,IL-1,TNFなどの刺激によりTLR2のmRNA発現が増強されたが、TLR4のmRNA発現には変化がみられなかった。以上の結果、IL-1R,TLR2,TLR4の遺伝子発現制御機構は異なることが明らかになつた。
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