(1)Tecのセカンドメッセンジャーの機能解析。我々が同定した新規ドッキング蛋白BRDG1は、細胞内でTec及びPyk2キナーゼの良い基質となった。またヒト成熟B細胞株においてTecの活性依存性にBRDG1のリン酸化がB細胞受容体刺激によって誘導されることが示された。さらに我々はBRDG1が細胞内でc-fosプロモーターおよびprotein kinase A(PKA)の活性化をそれぞれ誘導することを確認しており、BRDG1がチロシンキナーゼとPKAのシグナル伝達経路を介在する分子であることがしめされた。さらに、BRDG1及びTecの両者をconditionalに発現する酵母細胞を用いたtrihybrid screeningを行い、チロシンリン酸化依存性にBRDG1に会合する蛋白質の遺伝子スクリーニングを行い複数の陽性クローンを得た。 (2)遺伝子破壊マウスを用いた解析。マウスにおいてTec又はBtk遺伝子のどちらか一方を破壊しても軽度のBリンパ球成熟障害を来すにすぎないが両者を欠損すると重度の免疫不全症に陥ることが確認された。またこの際にBRDG1のリン酸化が低下し、生体内でのBRDG1に対するTecの重要性が確認された。
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