研究概要 |
1)Vprタンパク質によるCdc2活性阻害とG2期停止機構の解析 HIV1アクセサリータンパク質VprのG2期停止機構を解析するため,誘導剤添加によりVprの発現を誘導出来る細胞を樹立した.Vprの発現によりCdc2の活性が抑制され,細胞はG2期で停止したが,その後Cdc2は活性化し細胞はM期に進行した.しかし中心体複製はG2期停止中にも起こり,M期に進行した細胞は異常な多極の紡錘体を形成し分裂期から出ることが出来なかった.これがHIV1感染による細胞死の一つの原因であると考えられた. 2)新規Wee1タンパク質遺伝子の単離と活性解析 ゲノムデータベース上に登録されたWee1Huと類似の配列を有するヒト新規Wee1遺伝子cDNAを単離した.また,その活性をサイクリンCDK複合体を基質に測定し,Wee1Huと同様Cdc2,Cdk2の15位のチロシンをリン酸化することを明らかにした. 3)Wee1Hu(Wee1A)タンパク質の間期における分解機構の解析 プロテアソーム活性阻害剤による解析によりWee1Huの細胞周期を通じた分解はプロテアソーム依存に行われていることを明らかにした. 欠失変異を有するWee1を導入する解析により,プロテインキナーゼ触媒領域(catalytic domain)のN端側の外側のアミノ酸配列がプロテアソーム依存分解に必要であることを明らかにした.さらにこの領域に存在するリジンをアルギニンに変異させると,Wee1Huのユビキチン化が著しく減少し,LLnLによるWee1タンパク質量の増大が起こらなくなったことから,この領域のリジンのユビキチン化が間期におけるWee1の分解に必須であることを明らかにした.
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