研究課題/領域番号 |
12217005
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上出 利光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | B7 / Fas / CD28 / 遺伝子導入 / アデノウイルスベクター / アポトーシス |
研究概要 |
T細胞の活性化の補助シグナル分子であるB7-1の細胞外ドメインとアポトーシスを媒介するFas分子の細胞膜および細胞質内ドメインからなるキメラ遺伝子を作製し、これを腫瘍に遺伝子導入することにより腫瘍の増大、浸潤、転移を効率的に抑制できるか否かを検討する。腫瘍細胞に導入されたキメラ遺伝子が腫瘍細胞表面上にB7-1を発現させ、あたかも抗原提示細胞として作用し、クラスI拘束性T細胞上のCD28と結合して、キラーT細胞の活性化と増殖を引き起こす。同時にB7-1がCD28により架橋され、B7-1と結合したFasのデスドメインを介して、腫瘍細胞にアポトーシスを誘導するというシナリオである。腫瘍細胞の絶対量を減少させると同時にアポトーシスにおちいった腫瘍細胞は、周辺のマクロファージに貪食されクラスIIにより抗原提示され、ヘルパーT細胞の活性化・増殖を惹起し、キラーT細胞の増殖を助けることが可能となる。 アデノウイルスベクターを用いてB7/Fasキメラ分子をin vivoで遺伝子導入することにより、腫瘍細胞のアポトーシス誘導とキラーT細胞の活性化を介して、担癌動物の生存を有意に延長することができた。腫瘍細胞上に発現したB7分子がキラーT細胞上のCD28分子と結合し、キラーT細胞の活性化および増殖を促すことができた。一方でCD28と結合した腫瘍細胞上のB7が架橋されると、B7に結合したFasを介してデスシグナルが伝達され、腫瘍細胞のアポトーシスが促進された。B7/Fasキメラ分子を用いた遺伝子治療の有効性が示された。しかしながら腫瘍細胞によっては、Fas下流の刺激伝達系がブロックされており、本キメラ遺伝子を用いた治療では一定の制限があることも明らかとなった。
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