研究課題/領域番号 |
12217018
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
寺田 邦彦 秋田大学, 医学部, 助教授 (60197796)
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研究分担者 |
杉山 俊博 秋田大学, 医学部, 教授 (00127242)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2000年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | 肝癌 / 細胞移植 / 肝臓幹様細胞 / 肝再生 / コラーゲン / LECラット |
研究概要 |
[目的]本研究では、(1)代表者らが確立した方法によって肝臓から分離した正常な機能・増殖能を保持していると考えられる幹様細胞を移植に適した形態に加工し、(2)癌の根治切除後にこの幹様細胞を移植することによって肝臓の再生を促し、肝癌の治癒率を向上させることを目的としている。 [成果]1.健常SDラット肝臓から増殖可能な幹様細胞と思われる細胞を分離・培養することができた。この幹様細胞にGFP遺伝子を導入することによって、GFPを核内に安定的に発現している細胞株を樹立することができた。2.この幹様細胞は、アルブミンやサイトケラチン18および19など成熟細胞のマーカー蛋白を発現しておらず、α-フェトプロテインを発現していたことから、未分化な細胞であることがわかった。3.この細胞をコラーゲンゲル内で培養したり、スフェロイドを形成させることによって、アルブミンを発現する細胞に分化誘導することができた。しかし、今回用いた培養条件下では、幹様細胞の胆管系細胞への分化は起こらず、このためには他の培養条件あるいは因子が必要であると思われた。4.移植を行う対象として、ウィルソン病のモデル動物で、肝炎および肝癌を自然発症するLECラットを用いた。移植をし易くするため、スフェロイド化した幹様細胞をコラーゲンスポンジ内で培養し、これを50%肝切除を行った若年期LECラットの腹腔内に移植した。移植後6週で、コラーゲンスポンジ内にアルブミンを発現する細胞の生着が観察された。また、移植後9週から血中へのホロ型セルロプラスミンの分泌が認められ、LECラットにおける肝臓内銅代謝が改善された。これらのことは、移植された幹様細胞が肝細胞として機能していることを示しており、幹様細胞を利用した細胞移植治療の有効性を明らかにできた。これまでところ、移植後3ヶ月までの経過しか観察できていないが、現在長期の観察を行っており、発癌抑制についても検討する。今回使用したLECラットは肝癌発症前のものであったが、今後は肝癌を発症したラットに移植を行い、癌治療に対する幹様細胞移植の効果を検討する予定である。また、コラーゲンスポンジ内で培養した幹様細胞を移植に用いるだけでなく、体外補助肝臓として利用することも考慮している。
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