研究概要 |
in vivoでの腫瘍の放射線応答、照射効果の解析を行うため、GFP標識細胞を利用してin vivoでの照射後、少数のGFP標識細胞を回収し、c-myc,c-fos,p53,p21,MUCl等の放射線応答遺伝子の発現の変化を解析する系の開発をめざす。本年度は特定の細胞株HT-29を用いて、特定の放射線応答分子としてMUClに注目して解析を行った。まずHT-29/GFP細胞を樹立した。増殖速度、X線感受性等の各種性状解析を行い、親株と同様の性質であることを確認した後、ヌードマウスに移植し、in vivoでの腫瘍形成を行い、in vivoでX線照射した後にGFP標識細胞選択回収し、放射線応答分子MUClの発現を解析する系を確立することができた。またMUClのin vitroとin vivoでの応答パターンを比較することが可能となった。さらに他の細胞系、応答分子、測定系について解析をすすめる予定である。本年度は、特定の細胞株、特定の放射線応答分子についてではあるが、in vivoでX線照射した後にGFP標識細胞選択回収し、放射線応答分子の発現を解析する系を確立することができた。以上により、本研究においてMUClの発現に注目することとした。次年度以降は放射線照射後、より少数の細胞を迅速に、マウスから回収し、RT-PCR法による解析系を確立することをめざす。そして放射線応答に関写し、あるいは誘導されることが知られている蛋白(p53、p21、p41等)、増殖、転移に関与する分子(HGF、MUCl等)のmRNAの発現を調べ、in vitroとin vivoでの発現の異同を比較する。その結果、in vitroとin vivoで応答に違いのあった遺伝子については、さらにその原因を調べ、in vivoでの照射効果判定への応用の可能性を検討する。
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