研究課題/領域番号 |
12217069
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20135594)
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研究分担者 |
川上 茂 長崎大学, 薬学部, 助手 (20322307)
山下 富義 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30243041)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2000年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | 癌遺伝子治療 / カチオン性リポソーム / X線小角散乱法 / 原子間力顕微鏡 / 構造解析 / インターフェロン-β / 転移性肺癌 |
研究概要 |
癌治療において、遺伝子を直接体内に投与し標的の癌細胞に送り込むことにより治療を行うin vivo癌遺伝子治療法が注目を集めているが、本治療法の確立に必要な遺伝子/キャリアー複合体の物理化学的性質と生体適用後の体内動態、および発現効率の関係等に関する基礎的情報は極めて乏しい。そこで本研究では、DNA/カチオン性リポソーム複合体の物理化学的性質と投与された遺伝子医薬品が標的細胞に到達するまでの一連の過程、さらには最終的な遺伝子発現との関連について検討した。ここでは、カチオン性脂質DOTMAと中性脂質DOPEもしくはCholからなる代表的なカナオン性リポソームで検討を行った。原子間力顕微鏡およびX線小角散乱法で構造解析を行ったところ、Cholを含む複合体では脂質成分が安定なラメラ構造を保っていたのに対し、DOPEを含む複合体では脂質成分が曲率の高い不安定な構造を持つものと推察された。さらに、赤血球との相互作用、レポータ遺伝子でのin vivo発現実験の結果とを総合すると、DOPEを含む複合体ではその不安定な構造により、赤血球同士の融合及び凝集を引き起こされ、遺伝子発現効率が低下することが明らかになった。これらの情報よりCholを含む複合体の有効性が証明されたので、抗腫瘍効果が期待できるIFN-β遺伝子を転移性肺癌モデルマウスヘ導入する治療実験を行った。その結果、IFN-β遺伝子あるいはIFN-βのインデューサーであるpoly I:polyCの投与により、肺における有意なIFN-β産生および抗腫瘍効果が認められた。以上の結果はDNA/カチオン性リポソーム複合体を用いたin vivo遺伝子治療の実現に向けて複合体設計の有用な基礎的知見になるものと思われる。
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