研究課題/領域番号 |
12217084
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (30156195)
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研究分担者 |
吉岡 直寿 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80314417)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2000年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | メラノーマ / 癌転移 / コネキシン / ギャップ結合 / 血管内皮細胞 |
研究概要 |
B16マウス・メラノーマ細胞の亜株F10とBL6は同程度の実験転移能を有するが、自然転移能はBL6にあってF10にはほとんどない。両亜株の間でcDNAライブラリーのサブトラクションを行い、BL6で高発現するクローンを10数種単離した。そのうち最大の発現差異を示したクローンの1つはコネキシン26遺伝子であった。BL6細胞ではこの遺伝子に変異はなく、コネキシン26の機能が亢進している可能性が考えられた。コネキシンはギャップ結合を構成する分子なので、F10及びBL6細胞のギャップ結合能を調べた。新鮮な下大静脈片を内腔側を上にして培養シャーレの底に沈め、その上からメラノーマ細胞を播いた。BL6細胞から血管内皮細胞への色素の移動が観察されたが、F10細胞からの移動は全く起こらなかった。F10細胞に野生型コネキシン26遺伝子を導入した細胞株(F10-Cx26WT)を得た。F10-Cx26WTはBL6細胞と同程度のギャップ結合形成能と自然転移能を獲得していた。一方、BL6細胞にドミナント・ネガティブ型コネキシン26遺伝子を導入した細胞株(BL6-Cx26DN)は内皮細胞とのギャップ結合形成能を失うと同時に自然転移能もBL6細胞の2分の1以下に低下していた。以上の結果から、(1)F10及びBL6細胞の自然転移成立にはコネキシン26による腫瘍細胞ム内皮細胞間ギャップ結合形成が重要であること、(2)ギャップ結合阻害剤がBL6細胞の自然転移を抑制する可能性があること、が示唆された。現在、BL6細胞を接種したマウスに、ある種のギャップ結合阻害剤を連日局所投与または全身投与する実験を行っている。全身投与によって阻害剤の濃度依存性に自然転移が抑制されることを示唆するデータが得られてきている。
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